初動負荷トレーニングの効果効能①
神経筋制御とは?
神経筋制御とは、神経によって筋肉を正しく制御(コントロール)することです。
人間の複雑な動きを可能にしているのは、筋肉と脳を繋いでいる神経の働きがあるためです。
赤ちゃんがハイハイしたり、寝返りを打ったりできるのは、神経筋制御能が生まれた時から備わっている証であり、生まれて数年間は神経筋制御能が正常に機能していると言えます。
しかし、大人になるにつれて生活習慣や立ち姿勢、様々な癖によりその能力は偏りを示すようになります。
● 神経の働き・・・
歩き方や様々な動作によって、神経系に好ましくない制御が起こった場合、身体が硬くなる、あちこちが張るというストレスばかりを増やしてしまうこともあります。
実は、肩や背中の張りや凝りは、神経と筋肉の好ましくない制御関係から起こります。
つまり、神経や筋肉の使い方が偏ることで、身体全体のバランスが崩れるのです。それらのバランスの崩れが体の不調に繋がります。
そして同様に、良い動作や良いトレーニングは、それ自体が神経系を発達させ、神経と関節、神経と筋肉の機能向上を促すことが期待できます。
この初動負荷トレーニングでは、その神経筋制御能を向上させる効果があり、神経系を発達させることにより筋肉をより正しく制御(コントロール)することができ、身体にかかるストレス(凝りや張り)を軽減させることができるのです。
反射機能とは?
日常を含めたすべての動作は神経の指令によって行われます。
脳からの随意的な指令に対し、脊髄から無意識的に起こる指令を「反射的指令」と呼びます。
この反射によるものが、自然でしなやかな動作を生み出します。
しかし、脳からの指令が動作の途中で強く続くと、反射で起こったしなやかな動作は制限され、硬い動き、故障、血流阻害などを起こします。
反射にも様々な種類がありますが、ここでは「伸張反射」についてお伝えします。
● 伸張反射
伸張反射とは、筋が引き伸ばされると、その引き伸ばされた筋が収縮する反射です。
この伸張反射は、脳からの指令ではなく、脊髄反射で無意識下で行われるものです。
◆ 伸張反射の特徴
伸張反射の特徴としては、>拮抗筋の抑制作用があります。
拮抗筋の抑制を促すことにより、「※共縮」状態を防ぐことができます。
また、伸張反射機能は姿勢保持に重要な役割があると考えられています。
それは、大腿四頭筋(太もも)や下腿三頭筋(ふくらはぎ)などの重力に対抗して身体を支える筋群(抗重力筋)に対して伸張反射が起こりやすいからです。
つまり、分かりやすく言うと、急に他者から身体を押された際に、脳から指令を出して筋を収縮させていては姿勢保持が間に合わずに転んでしまいます。
ゆえに無意識下で行われる伸張反射が瞬時に働き、姿勢保持の役割を果たしています。
人は脳からの指令だけで動いているのではなく、数ある反射によって運動を円滑に行っています。
伸張反射もそのうちの一つで、重たいものを持ったり、姿勢を調節したりする際に運動の手助けをしてくれます。
この初動負荷トレーニングでは、伸張反射をうまく利用することで、反射機能を促進させ、自然でしなやかな動作を生み出すのです。
初動負荷トレーニングには他にも様々な効果があります。
効果を知り、それらを意識しながら動作するのとそうでないのとでは、大きく変わってきます。
ぜひ以上のことを意識しつつトレーニングに励んでみてください!!
※共縮
ボールを投げる時の「腕の動きだけ」を考えます。
途中まで肩を回しやすいように腕を曲げ、そして腕を伸ばしながらボールを離しますね。
この腕・肘を伸ばすという作用を受け持つのは上腕の裏側の筋肉(上腕三頭筋)です。腕を曲げているときは伸び、伸ばすときに縮みます。
一方、関節を伸ばそうとする時、伸ばさないように働く筋肉があります。
それは力こぶの筋肉(上腕二頭筋)ですが、その上腕二頭筋に力を込めてボールを投げようとしても投げられません。
自動車の急発進と急バックを同時に行っているようなもので、「動けない」のです。
これを繰り返していると、「エンジン、各部所の故障」が連想できますね。
筋肉同士のこのような状態を「共縮」「共収縮」と呼びます。
身体の歪み、良くない動きも、この「共縮」状態を作り、ゴルフでよく表現されるイップス、また、肩凝り、腰の張り、横になってテレビを見ていると身体が固まっているなどの例も「共縮」です。
「共縮」=「血行障害」もイメージしやすいです。